おりんの選び方と正しい鳴らし方を解説

おりんの選び方と正しい鳴らし方を解説

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#梵音具

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お仏壇に手を合わせるときにチーンと鳴らすあの仏具。

見たことはあるのに以外と名前が知られていないその仏具は「おりん」と呼ばれ、身近な宗教用具のひとつです。

その音を聞くと、ほっと穏やかな気持ちになる方も多いのではないでしょうか。

今回はおりんを購入する前に知っておきたいポイントや、正しい使用方法について解説します。

おりんの役割とは

おりんは梵音具(ぼんおんぐ)と呼ばれ、本来は読経などの勤行をはじめる前と終わった後に打ち鳴らすために使用する仏具です。

しかし、その澄んだ音は邪気を払い、空間を清浄にするとも言われ、現在では勤行をしない方にとっても欠かせない身近な仏具となっています。

一般的には「おりん」といわれることが多いですが、宗派によっては「鏧(きん)」や「鐘(かね)」などと呼ぶこともあります。

おりんの形と材質について

おりんは宗派にかかわらず使用されます。

以前はお椀のような鉢型タイプが多かったですが、最近では家具調仏壇に合わせて球体型やりん棒が一体となったものなどモダン型も登場し、幅広い選択肢があります。

主な材質は次の4種類です。

佐波理(さはり) 【銅と錫の合金】

おりんのなかでも特に音質や余韻がよいとされています。

その音の良さからシンバルや銅鑼などの金属製楽器にも使用されています。

シルジン青銅 【銅と亜鉛とケイ素の合金】

高価な佐波理(さはり)の代用として使用されるようになった金属で、現在では多くのおりんがこの材質でつくられています。

真鍮(しんちゅう) 【銅と亜鉛の合金】

金属製仏具としては最も一般的な材質です。

加熱によって複雑な形状にできることから、デザイン性の高いおりんを作ることが可能です。

純金 【主に18金】

独特の高音が特徴です。

資産形成のために用意される方もいる高価な材質です。

24金ではおりんの成形が難しく、10金では資産価値が見込めないため18金で作られているものが多いです。

また、価格は金相場により変動します。

おりんの失敗しない選び方

おりんの形は自由に選ぶことができます。

選ぶポイントとなる3つの基準を具体的に確認しましょう。

宗教的な難しい決まりごともありませんのでポイントを踏まえて素敵だと思うひとつを見つけてください。

「音」で選ぶ

一般的に音の高低はおりんのサイズに比例します。

小さめサイズ(1.8寸~2.3寸程度)は透明感がある高音、大きめサイズ(2.5寸以上)では落ち着きのある低音がでるものが多いです。

ほかにも、音の余韻をじっくりと聞いてみるとよいです。

スーっとまっすぐに続くタイプと、ボワンボワンと波打つようなタイプがあるのがわかると思います。

ご自身が良い音だと思うものを自由に選んでください。

「サイズ」で選ぶ

お仏壇が既にある、もしくは同時に購入する場合は、お仏壇のサイズを基準に選ぶことができます。

おりんのサイズ表記は口径で記されることが多く、また長さの単位は昔からの慣習で「寸(1寸は約3.3cm)」を用います。

現在ではあまり馴染みのない表記ですので、現物を見ずに購入する場合は詳細説明などで確認しましょう。

お仏壇に応じたおすすめサイズは以下の通りです。

  • 上置仏壇の場合 1.8寸〜2.5寸
  • 台付仏壇の場合(H130cm以下) 2.3 寸〜3.0寸
  • 台付仏壇の場合(H130cm以上) 3.0寸以上

「サイズ」で選ぶ

先にご提案をした「サイズ」や「音」で選ぶことに加えてお手入れ方法も購入前に確認しておきましょう。

従来のおりんは、材質の特質として経年で黒く変色してくるため定期的に金属磨きでのお手入れが必要になります。

そのため、最近ではより負担なく綺麗な状態を保つことができるように、クリア塗装(フッ素加工、金メッキ加工、セラミック加工などのコーティング含む)をしたものも増えてきました。

音の響きを重視する場合、地金のままのほうがよく響くとされていますが、クリア塗装をしたものでも十分に良い音のものはたくさんありますので、ご自身の優先順位に合わせて選んで問題ありません。

おりんとセットで購入するものはある?

最近のモダン型のおりんでは一式がセットになったタイプもありますが、別売りの場合は下記の仏具を用意する必要があるかを確認しておくと安心です。

りん布団

鉢型のおりんを乗せるための布団です。

丸型の他、花型などもあり好みで選ぶことができます。

りん棒

おりんを叩くための棒です。

木材に布や白革などが巻かれていて、生地が厚いほうが優しくまろやかな音になる傾向があります。

家具調仏壇に合わせた何も巻かれていない木製タイプはデザイン面を優先して選びたい方に向いています。

りん台

伝統的な仏壇と合わせる際に用意することが多い仏具です。

本来おりんは畳の上に置くものですので、正座をしたときに鳴らしやすい高さにする役割があります。

ただし、経机や膳引きに置くのであれば必要ありません。

宗派によって形が異なることもあります。

家具調仏壇に合わせるモダン型の場合は好きなデザインを自由に選ぶことができます。

おりんの正しい鳴らし方

実際におりんを鳴らしてみると人によって音の響き方が違うように聴こえることがあります。

せっかくだったら良い音を正しく鳴らしたいもの。

良い音をだすポイントは意外と簡単です。

良い音がでる叩き方を含め、正しいおりんの鳴らし方を知ってしましょう。

音が最も良く響く場所は?

さまざまなおりんの形状がありますが、いずれもおりん上部の「フチ」を横から弾むように叩きましょう。

横ではなく上から叩いてしまうと、音が響かなくなるので気をつけてください。

鳴らすタイミングはいつ?

本来は各宗派の決まりに合わせ読経の最初と終わりにならします。

読経をしない方は合掌の前に鳴らすとよいです。

鳴らす回数に決まりはある?

正式には宗派によって回数は異なります。

しかし、ご家庭の場合はあまり気にする必要はありません。

1~2回、落ち着いた気持ちでゆっくりと音を響かせましょう。

おりんの音を響かせて静かに手を合わせる。そのひとときを大切に。

おりんは宗派に関係なく使用することができます。

選択肢が多く迷ってしまうかもしれませんが、「サイズ」「音」「手入れ方法」を基準に好きなものを選べば間違いありません。

おりんの音色を聞きながらそっと手を合わせ、心の安らぎを感じる。

それは誰にとっても貴重で大切な時間となるでしょう。

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監修者
仏事コーディネーター
川辺 一寛
京都生まれ、京都育ち、半世紀以上の歳月をこの地で過ごし、株式会社若林佛具製作所では四半世紀以上にわたって様々な業務に携わってきました。仏事コーディネーターおよび京仏マスターソムリエの資格を持っており、特に、寺院用の仏具を扱う寺院担当として、全国各地を回る貴重な経験を積んできました。そして今、『なごみ工房』の開設にあたり、これまでに学んだことを基に、様々な方々に対応し、新たな出会いを楽しみにしています。