仏壇に仏像を飾っている様子の画像

仏像と掛け軸、自宅の仏壇の御本尊はどちらが良い?

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お仏壇の中央に置くご本尊さまには「仏像」が飾られる場合と「掛軸」が飾られる場合の2種類があります。

仏像と掛軸の違いはなにか、どちらを飾った方が良いといった疑問を抱く人もいるでしょう。

この記事では、そうした仏像と掛軸の違いについて解説します。

仏像と掛け軸はどちらが良い?それぞれの特徴

仏像も掛軸も、ご本尊として礼拝の対象になるという意味で「役割は同じ」です。

お寺さまによる魂入れ(お性根入れ、開眼法要)が済めば、いずれも等しくお仏壇に祀られます。

したがって、どちらが良いということはありません。

実際に選ぶ際は、以下のようなそれぞれの特徴を考慮し、ご自宅のお仏壇の形状や大きさ、奥行きなども確認して考えると良いでしょう。

仏像

    メリット

  • お仏壇の灯りがあたることで陰影ができ、より厳かな雰囲気を感じられる
  • 掛軸よりも重厚で、存在感がある
  • デメリット

  • 緻密な細工が施されているものが多く、手入れの際は慎重さが求められる
  • 掛軸と比べて高額になる場合が多い

掛軸

    メリット

  • 奥行きがない場所でも置くことができる(ミニ仏壇などと相性がいい)
  • 仏像に比べると手入れが簡単(アクリルのフレームに入ったスタンド式掛軸など、特に手入れが楽なものもある)
  • デメリット

  • 紙や布が使用されているものが多く、仏像に比べて経年による傷みが生じやすい
  • 使用されている材質や管理の仕方次第では修理ができず、買い替えが必要になる可能性がある

このようにそれぞれの特徴を踏まえて選ぶと良いでしょう。

正式には中央にご本尊、その両隣に脇侍の3体を用意しますが、最近では信仰のかなめとなるご本尊のみを用意することも増えています。

本尊を仏像、両脇を掛軸。または3体とも掛軸にするパターンが多いです。

ただし、浄土真宗(浄土真宗本願寺派、真宗大谷派)の場合は本山で掛軸が推奨されています。

ご自身の宗派が浄土真宗だけど仏像を飾りたいという場合は、事前に菩提寺に相談のうえ、仏壇店に希望を伝えるとよいでしょう。

仏像の種類と置き方

仏像は木製でできたものと、樹脂でできたものがあります。

木製の主な材料は「桧(ひのき)」「柘植」「楠」「白檀」です。

木材の希少価値や、彫刻や細工の緻密さで価格が異なります。

木地そのものの風合いを活かした塗装を施さないものと、金箔と彩色で仕上げられたものがあります。

樹脂では金塗装を施されたものが主流です。

サイズに難しいルールはありません。

ただし、手を合わせたときに、仏さまのお顔がはっきりと見えるものがよいです。

また、お仏壇のもっとも高い上段に置くのが基本です。

特にご本尊様を仏像にして両脇侍を掛軸にする場合は、掛軸を掛けた時、仏像(本尊)のお顔よりも掛軸に描かれているお上人のお顔の位置が高くなることのないようにしましょう。

また、仏像を選ぶ際には、お仏壇の内部の高さにも注意しなければなりません。

仏像には「光背(背中の後光)」がありますので、高さに余裕が必要だからです。

お仏壇に仏像を安置した際、欄間にお顔が隠れていないかを確認することも大切です。

仏像の種類によっては奥行きが深いものもあります。

仏像を優先してお仏壇を選ぶ場合は、伝統的な金仏壇・唐木仏壇やモダン仏壇の中でも、高さや奥行きにスペースがあるものやお仏壇内部の段を取り外せるものを選ぶと飾りやすいでしょう。

掛軸の種類と置き方

掛軸には豊富な種類があります。

仏さまのお姿が印刷された掛軸や、職人が直筆で描いた掛軸などいろいろなものがあり、価格もさまざまです。

なかには絹の生糸で平織りをした「絹本(けんぽん)」や、表装に本金襴を使用したものなど、素材にこだわった高価な掛軸もあります。

しかしながら最近では、洋風の住宅環境に馴染みやすいモダンなお仏壇が人気なこともあり、掛軸もそれに合わせたものが増えています。

飾り方も昔は鋲(びょう)でお仏壇の背板に直に固定されていましたが、最近ではお仏壇の背板に穴を空けずに「掛軸スタンド」に掛軸を引っ掛けて、お仏壇のなかに据えるのが主流になりつつあります。

また、支える部分まで一体になったスタンドタイプの掛軸も登場しています。

掛軸を選ぶときは「サイズ」を確認することも重要です。

掛軸の寸法を測るときの単位を「代」といいますが、種類によって20代から300代までと、かなりの開きがあります。

また、最近では多くの仏壇店が20代以下の「豆代」などと呼ばれるサイズも取り扱っているので、小型のお仏壇をお持ちの方でもきっと見合うサイズがあるはでしょう。

なお、浄土真宗では「法名軸(ほうみょうじく)」と呼ばれる掛軸もお仏壇に飾ります。

法名軸は故人の法名(戒名)と没年月日が記されたもので、礼拝の対象となる掛軸とは役割が異なりますので、取り違えないようにしましょう。

掛軸の種類と置き方

仏像と掛軸はいずれもご本尊さまとして祀られる、信仰のかなめです。

基本的にどちらを使わなければならないという決まりはありませんので、お仏壇の形状や大きさなどを確認した上で、あなたの条件に合う方を選びましょう。

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監修者
仏事コーディネーター
川辺 一寛
京都生まれ、京都育ち、半世紀以上の歳月をこの地で過ごし、株式会社若林佛具製作所では四半世紀以上にわたって様々な業務に携わってきました。仏事コーディネーターおよび京仏マスターソムリエの資格を持っており、特に、寺院用の仏具を扱う寺院担当として、全国各地を回る貴重な経験を積んできました。そして今、『なごみ工房』の開設にあたり、これまでに学んだことを基に、様々な方々に対応し、新たな出会いを楽しみにしています。